昨年夏にチェロの弦をすべてPirastro社のEvah Pirazzi Gold に換えて弾いていました。
そろそろ1年経過し、特にA線の音が劣化してきた感じがするので弦を交換することにしました。7月から定価値上げの弦が多くなりそうだったのも後押し。
「次はRONDOに」と考えていた通り、Thomastik Infeld社の RONDO に全交換しました。発売当初よりも定価は値下げになっていましたが(2021年4月1日より 税込60,800円から税込55,330円に)、なかなかお高い弦であります。
透き通った音
交換してすぐ弾いてみて気づくのは、「透明感のある音質」です。A線でハイポジションまで一気に弾いても嫌な音が出ません。Evah Pirazzi Gold は倍音が多い「キラキラ感」の強い音質でした。ラメが入った液体のようなイメージの音です。それがロンドの場合は非常に透明感の高い、透き通ったトーンの音が出ます。キラキラ感ではなく純度の高い透明感のある音です。ちょっとこの透明感は病みつきになるくらい弾いていて気持ちのいいものです。
低い弦でも透明感がある
A線からC線まで4本ともロンドで揃えたので、シームレスに弦のキャラクターが揃って弾きやすいです。透き通ったトーンはG線やC線といった低い弦でも健在で、低い弦特有の「ぼそぼそした」籠った感じとは無縁です。
めちゃめちゃ響く
楽器の鳴りも変わりました。まるで大空間で弾いているような響きが出るようになりました。弾いている際の音の広がりや弾き終わりの残響が Evah Pirazzi Gold よりも大きいのです。音量も大きくなっているように感じました。
Thomastik Infeld のサウンドチャートによると RONDO は“BRILLIANT―WORM”はやや BRILLIANT 寄り。“BROAD―FOCUS”だと FOCUS 寄りの位置にあります。キラキラ感が少な目は感覚的に理解できました。印象的な透明感と音量の豊かさが FOCUS に当たるのでしょうか。
A線のテンションは Evah Pirazzi Gold より高め
A線はかなりなハイポジションまで使うことがあるので、張力が強すぎると押さえづらくなってしまうことがあります。Evah Pirazzi Gold も張力が高めの弦でしたが、RONDOはさらに高いようです。
- EvahPirazzi Gold A:17.8kp, D:14.2kp, G:14.2kp, C:13.8kp
- RONDO A:18.8kp, D:14.3kp, G:14.3kp, C:13.8kp
交換して弾いてみると、確かに RONDO の方がA線強めです。Evah Pirazzi Gold の時より押さえる”指力”が必要かもしれません。A線以外はどちらもほぼ同じ張力であることが比較するとわかります。
ともかく、RONDO に交換してかなり幸福度が高いです。これまでの弦では引き出されてなかったチェロらしい甘い音色が出ます。特にハイポジションの音色は弾いていて病みつきになるほどです。これでこの音色が「長時間保つ」のであればさらに良いのですが、しばらくはこの弦で弾くのがかなり楽しいです。
THOMASTIK RONDO の良かった点
- 透明感のある音色
- 豊かな響きと音量
- 4弦共通のシームレスなキャラクター