大宮へ移転したフレンチレストランBlancのグランドオープンにお伺いしました。
ブーランジェリーの“Blanc a la Maison”、その左隣、10月オープンしたパティセリ “masayuki nakamura by blanc” の隣にひっそりとした入口があります。
ボタンを押して、木戸を開けてさらに奥の扉をくぐると静かな、いかにも居心地の良い空間が現れます。
ディナーコースのみ。完全予約制、カウンター6席・テーブル2席。
ゆるくカーブしたカウンターと見るからに座り心地の良さそうな椅子。
料理が映えるカウンター、オープンキッチンなのでシェフの動きが美しく見えます。
このカウンターの造形が素晴らしいものでした。
カウンターの天板はテラゾー。いわゆる“人研ぎ”(人造石研ぎ出し)ですね。テラゾーの天板は真鍮のエッジでシャープに切り取られ、端部はホワイトオークの白木。
白い人造大理石に埋め込まれているのは、ワイン瓶のカレット。これは虎ノ門Blancで最終月にお客さんに出したワインの瓶をカレットにして散りばめたものだそう。
「虎ノ門のことを忘れないために」って語る大谷シェフがカッコよかったです。
Course“Noir”をいただきました。
Amuse Bouche/先付け
初めの一皿 > 水、柚子
埼玉の小鉢 > 鴨、ジャンドゥーヤ
> 白葡萄、フォアグラ
> 深谷葱、カスレスペシャリテ
秋 > なんぶいちろう、オリーブオイル、雲丹、いくらEntrée/冷たい前菜
三秋 > 秋刀魚、ビーツ、梨
Entrée/暖かい前菜
晩秋 > 茸、豚、蛤Poisson/魚料理
初冬 > 金目鯛、エシャロットViande/肉料理
冬支度 > 北海道産蝦夷鹿、茄子、無花果デセール or 〆の一品
アミューズブーシュ/先付け
手が込んでいて、エスプリの効いたアミューズ。「水と柚子」が少し泡立てられていて、出汁の効いたさわやかなうまみの塊でした。
カスレ包まれている春巻?に深谷葱の白いソースをディップして食べます。深谷葱の甘さが印象的。
器にもこだわりが。春巻が載っている器は深谷レンガ、鴨テリーヌが載っている器はキューポラの街川口の鋳鉄器をイメージした焼き物。
スペシャリテ
「なんぶいちろう」という名のピーナツカボチャのムース。
Entrée/冷たい前菜
秋刀魚は鮨屋方式で酢〆め、細かく刻んだビーツの食感、上に載ったゼリーは梨ジュースのゼリー。
Entrée/暖かい前菜
トランペット茸のソテー、豚骨ベースの濃厚なスープに蛤の出汁が良く合う。
Poisson/魚料理
飴色のエシャロットのソテーの甘さと金目鯛の濃い旨味が合う。
Viande/肉料理
なぜか北海道にいながら美味しいエゾシカは東京でしか食べたことないかも。キャラメリゼした無花果と少し脂身のあるエゾシカロース肉マッチングが素晴らしい。
デセール or 〆の一品
〆の一品で「暖かい鶏麺」を選びました。
虎ノ門のお店は9坪しかなかったらしいのですが、(よくその狭さであのクオリティーの料理を出せてたのは…ご苦労がしのばれます。)広く、見た目も美しく、料理をする人の動きまで美しく見えるようなオープンキッチンで手際よく繰り広げられる料理、美しい皿の数々。見ていてわくわくしますし、食べて飲んで納得の品々です。
レストランのコンセプトである「ローカルとローカル」が体現されているのを実感しました。
ヴァン・ナチュール三昧
もちろん、超絶レアで絶品のナチュール系のワインが揃ったワインセラーも素晴らしい。今回は6人で6本。堪能いたしました。
PHILIPPE PACALET “Bulles 2018”
MOSSE “Chenin 2018”
CÔTES DU JURA FORTBEAU ANNE ET JEAN-FRANÇOIS “Ganevat 2018”
VINCENT TRICOT “White Light Blanc 2020”
CHANTEREVES “Bourgogne Chardonnay 2019”
CHATEAU LESRIGNAC “Racigas XVIII”
すでに11月12月は予約で埋まっているそう。早くも予約の取れない名店になりそうな予感です。
虎ノ門の時のように気軽には行けなそうなのが少し残念ですが、季節ごとに、折に触れて行きたい大切なお店ができました。