「まだまだ世の中、知らないことがたくさんある」と思うことが未だに多くあります。
50年近く生きてきて「寡聞にして知らないこと」ばかり。
無知の恥ずかしさにも慣れ(というか鈍感になった)、最近は純粋に新鮮な驚きがあります。
「冬ざれた街(LIVE)」
デビューから2年後に発売された五輪真弓の初ライブの録音。
1974年(昭和49年)。ライブの録音は1973年(昭和48年)、渋谷の伝説的な小劇場「ジァンジァン」にて。
なんというか、当時20歳そこそこの五輪真弓の仕上がりっぷりが凄い。
大げさな言い方をすると「歌声に震える」ほどに感動したのです。
自分たちの世代は1979年の「恋人よ」で五輪真弓を知った世代なので、一部では「早すぎた渋谷系少女」と言われる、”デビュー当時の五輪真弓の凄さ”を知らなかったのです。
このライブ、今見ると錚々たるメンバーをバックに従えています。
Drums:村上“ポンタ”秀一
Acoustic Guitar:石川 鷹彦
Electric Guitar:大村 憲司
Bass:高水 健司“大仏さん”
P/Keyboard:深町 純
Saxophone:村岡 健
大村さんも深町さんもポンタさんも故人になられたが、今やレジェンド級、当時でも第一線のミュージシャンが参加しています。
この演奏がまた素晴らしい。
(ちなみに今回調べて知ったのは、左とん平の「ヘイ・ユウ・ブルース」の間奏も村岡健のサックスだったということ。あの間奏の”泣きのサックス”は痺れます。)
ライブ録音の音の近さやリアリティ、力強さ。歌や演奏の息遣いとか、観客の反応、五輪真弓の意外に軽妙なMCがライブのリアリティを高めます。
伝説的なデビューアルバム「五輪真弓/少女」
五輪真弓はデビューからして伝説的でした。
デビューアルバム「五輪真弓/少女」のレコーディングはLA(クリスタル・サウンド・スタジオ)。アーティストの海外レコーディングの嚆矢です。
「デモテープに感銘したキャロル・キングがレコーディングに参加」という逸話は有名です。
Producer/Engineering:ジョン・フィッシュバッハ
Pf:キャロル・キング
Bass:チャールズ・ラーキー
Arrangement:デビット・キャンベル
今聴いても全く古く感じない曲の数々。
圧倒的な歌唱と演奏はタイムレスな魅力があります。
このディスクも録音が素晴らしいです。山下達郎がよくラジオでいう「音圧の高い」録音です。低音が分厚く、音域の上から下までしっかり入っている。
これがデビューアルバムとは、五輪真弓、恐るべしです。
「恋人よ」以前の五輪真弓の素晴らしい楽曲と歌唱の数々について、いままで知らなかった自分をおおいに恥じるのでした。