セイコーの振り子時計。鐘がなる様子からボンボン時計なんて呼ばれたりもします。
振り子時計は、腕時計のように型式やムーブメントの種類がまとめられておらず、いつごろ製造されたものなのか、よく分からず、推測の域を出ません。
文字盤は全数字。12時位置にSeiko のイタリック文字。6時位置に“21Days”表示があることから、「21日巻き」であることがわかります。
チャイムバーが3本、左側がチャイムのゼンマイ、右側が時計のゼンマイをまく部分があります。
木製の箱型、シンプルなデザインです。
デザインテイストから60年代後半のようにも見えます。当時はもう30日巻の時計が全盛。21日巻は廉価版だったのかもしれません。
全数字文字盤のフォントのデザインも良い。
一般的な柱時計は木目が前面に貼られた家具調のイメージが強いですが、この時計の場合、額縁の左右にのみ木目があしらわれています。しかもその木目はメープルのような明るい色調の樹種の木目です。
木目が張られている部分の内側はテーパー状になっておりガラスと接しています。金属っぽい表現にしたかったのでしょうか、ここだけ銀色の塗装となっています。箱のその他の部分は濃茶色に塗られています。
腕時計のムーブメントに見慣れていると、柱時計・掛け時計のムーブメントの歯車やゼンマイの大きさに驚きます。ゼンマイや歯車の素材の厚さも厚く、トルクも大きいです。付属の“ゼンマイ巻き”で21日毎にゼンマイを巻きます。結構な力が必要です。
時計としての精度が高いのも印象的でした。歯車にマシン油を注した程度で動き出し、ほとんど狂いなく正確に動きつつけます。
30分ごとにチャイムが鳴ります。左側に見える2本の棒鐘にハンマーが打たれて鳴る仕組みです。
振り子の音やチャイムの音量は調整できず、けっこう大きな音が出るので箱の内側に吸音のためのスポンジを入れています。少し作動音が小さくなりました。
当時の柱時計・掛け時計は丸文字盤で濃い縦木目の箱が一般的ですが、この時計はそんな一般的な時計のデザインとは一線を画したモダンなデザイン。ちょっと北欧モダンなテイストにさえ思えてきます。