秀逸なパネルデザイン
このパネルデザインは本当に美しいと思う。
LR独立したスライド式トーンコントロールとAB2種のテープデッキモニターのプッシュボタンを中央に配し、各種機能のダイヤルが左右対称に置かれる。このダイヤルの配置、パネルの余白とのバランスが素晴らしい。
ダイヤルには大小2種類の大きさがある。
右側には大きめのダイヤルが4つ
ボリューム/バランス/アウトプットセレクター/ステレオモードセレクター
左側には小さめのダイヤルパネルが4つ
Highカットフィルター/Lowカットフィルター/ラウドネス/出力スピーカー選択
小さめのダイヤル4つの端にヘッドホンとダビング用のピンジャック3つ、その最下端に電源のプッシュスイッチ。
通電時はパネルの中央上部の”marantz”ロゴの下にマランツ伝統の青色の電球が点灯するのだが、ある種神々しい美しささえ感じる。
最後の純米国製マランツプリアンプ
Model 3300は1972年~74年くらいまで製造していたようだ。スーパースコープ社時代のマランツ。75年には日本のスタンダード工業製で“Desined in U.S.A. Producted in JAPAN”銘板となるので最後の米国製マランツプリアンプといってもよいのではないか。
スペックについては「オーディオの足跡」が詳しい。
マランツには伝説のプリアンプの名品、Model7(1953~)という真空管プリアンプがあり、その回路をそっくりトランジスタに置き換えたModel7T(1966)が発売されている。その後、これまた名品の誉れ高い、スライド式トーンコントロールを備えたModel33(1970)が発売される。Model3300はトランジスタ専用の回路設計、厳選したトランジスタ、抵抗スイッチ類を使用した、デバイスとしてのトランジスタの可能性を最大化したような“力の入った”モデルであったと思われる。
電源についても、カットコアトランスを使うなど、オーディオ回路として音のことをよく考えられた設計がなされている。