モトアザブ退屈日記

日々のモノ・コト・忘備録。クルマ、時計、オーディオとか骨董とか。

Marantz Model 3300 ⑤ 名機と呼ぶに相応しい編

Model 3300が奏でるサウンド

結局、音の感想が最後になってしまったが、Model 3300のサウンド、とてもいい。

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NR1200からダイレクトに聴いていたCD並み or ハイレゾ音質のサブスク音源。スピーカーがB&Wということもあり、このコントロールアンプを通す前は、かなり固めで解像度パキパキのサウンドで聴いていたことが分かった。

 

デジタルサウンドの”うま味”が増した

Model 3300を通して同じ音源を聴くと、非常に心地の良い、聴きやすい音を奏でていることに気づく。音の角が取れたとか、解像度が曇ったとかではなく、うま味が増した感じだ。全体に低音が丁寧に鳴るようになり、低音から高音までの音のつながりがスムーズになった。

DACからの音をビンテージのプリアンプを通してパワーアンプ(これもビンテージものだ)から最新スピーカーを鳴らす。「原音主義」や「再生音の鮮度」という話からすると無茶苦茶で全く御法度なことをしているとは思うが、不思議と聴きやすく、音楽として美しい音が出ていると感じる。

ジャズやクラシックと音源のジャンルを変えても、プリアンプで適切な音質にユーザー側で調整することができる。その出す音が心地よく感じるのだ。

 

マランツの自信

当時の Model 3300 の広告には次のような謳い文句があった。

アメリカ・アンプという範疇があって その特長が、派手な外見と マスプロのライン に乗せうる洗練された合理性にあるとすれば、マランツは、ただ一つの例外です。マスプロの可能性と限界を知り尽くした上で 手造りの尊さ 手造りの不可避性への回帰が見られます。<アンプ魂>のこめられた芸術作品です。Model 3300は、回路上(言葉の上では言い古されていますが)初めて 実質的にトランジスタを使い切って、トランジスタのために生まれたアンプです。Model 3300に比べると すべてのアンプが――栄光を勝ち得た私たちの例のModel 7Tですら――旧来の<球>の回路を<石>に置き換えるという思想から解き放たれていないことがわかります!

Model 3300、あの幻の名器Model 7の簡潔きわまりない至純の回路を、トランジスタにしてようやく達成したものであり Model 7のしたたかな音の透明度としみじみとした音の温かみに、現代的な冴えと透徹した緻密さが加わったことで ようやくその音でModel 7を超えたのでは、などと自負してもいます。(『ステレオ』誌 1972年12月号 マランツ社広告)

英文の訳だと思われ、随所に生硬な表現(「栄光を勝ち得た私たちの例の…」)があるが、熱量を感じる文章ではある。マランツ社としてはトランジスタの特性をプリアンプとして使い切ることができたのだ、と。そしてその出来はModel 7Tはおろか、Model 7を凌ぐ名機である、という自信を感じることができる。